思春期の記憶は、自己やアイデンティティの発達、ライフストーリーの形成が進む時期に関連しており、この時期の自伝的記憶には特有の特徴が現れます。日本人の中高生を対象とした研究では、学校に関する出来事(入学、卒業、部活動など)が多く想起され、特に中学生は12歳、高校生は15歳に経験した出来事を他の年齢よりも多く思い出すことが示されました。これらの時期に想起される出来事は、ポジティブ感情またはポジティブとネガティブが混ざった感情を伴うものが多いです。
また、思春期は文化差や性差が自伝的記憶に影響を与える可能性があり、特に日本の中高生では学校生活で共有する経験が多いため、成人に比べて性差が少ない傾向があります。この時期の記憶は、自己の発達やライフスクリプトの形成にも深く関わっており、思春期ならではの特徴が現れることが推測されます。